古今亭志ん朝「井戸の茶碗」を聞いて
まだ落語を聞き始めて間もないもので、多くの落語を知っているわけではありませんが、噺の内容として私が一番気に入っているのが「井戸の茶碗」という演目です。
こちらの演目で特に気に入っている特徴は悪い人が一人も登場しないということです。
簡単にあらすじを説明すると、千代田卜斎という浪人者と若侍の高木作左衛門の二人の商いを、くず屋の清兵衛さんが間を取り持つといった構成が主となります。金に困っていた千代田卜斎がたまたま通りかかった清兵衛さんに仏像を売り、それを高木作左衛門に清兵衛さんが売り渡したところ、仏像の中から大金がでてきてさあどうしようといったお話です。
志ん朝の井戸の茶碗を聞いていると、この三人が本当に江戸時代に存在していたかのように話に入り込むことができます。あー江戸っ子とはこういう人のことを言うんだなと思うことができるのがこの演目です。
また、この噺でもう一つ気に入っているところがサゲです。
噺の初めから最後までの内容を「ストンッ」と落としつつ、笑って終わりになるきれいなサゲだと思います。個人的にこういうオチこそが落語なのではないかと思いました。主な登場人物も少なく、噺の内容もわかりやすいこの演目から聞き始めたからこそ私が落語を聞いてみようと思った噺なので、初心者でも聞きやすいものかと思います。
是非皆さんも古今亭志ん朝「井戸の茶碗」を聴いてみてはいかがでしょうか。