古今亭志ん朝「大工調べ」を聞いて
先日金曜ロードショーで高畑勲監督作品の「平成狸合戦ぽんぽこ」が放送されました。ジブリ作品の中で唯一ナレーションを採用しているのがこの作品のようです。そのナレーションはあの三代目古今亭志ん朝です。放送を見ていて、やっぱりいい声だなあと感じました。今回はその志ん朝の語り口が思う存分聴ける「大工調べ」の感想です。
こちらの演目の花は何といっても大工の棟梁が啖呵を切るシーンです。
落語の世界でよく出てきます与太郎と大工の棟梁、与太郎が住んでいるところの大家とお奉行様が主な登場人物です。この「大工調べ」という噺、オチを理解するためには枕を聞いておく必要があります。志ん朝の落語ではちゃんと枕で強調しているため、とてもわかりやすかったです。
大工の棟梁が与太郎のとこの大家さんに怒り、突然の大声ののちべらんめえ口調で啖呵を切るシーンは非常に熱がこもっており、思わず拍手してしまいました。また、大工の棟梁が怒り出す前の大家さんとのやり取りでは、私も経験したことがあるような難しい人との会話を目の当たりにしているような気持になり、なんとも現実味を帯びていると感じました。やっぱり一度でいいから志ん朝の落語を生で拝見してみたかったと常々思います。
是非皆さんも古今亭志ん朝「大工調べ」を聴いてみてはいかがでしょうか。